核兵器が平和を守る!?世界の均衡を司る最悪の悪魔 核抑止に迫る

2025
08
01
核兵器が平和を守る!?世界の均衡を司る最悪の悪魔 核抑止に迫る
ライター
まちょたま
筋トレ大好き
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まっちょを目指す20代男性です。 筋トレの素晴らしさに気づき筋トレざんまいの日々をおくっています。 人生を変えるにはトレーニングが最高だと確信しています。 トレーニングや食事、フィットネスについて自分の知見や学んだことを日々発信しています。 みなさんに少しでも筋トレの素晴らしさを伝えたい! 記事を読んで少しでも興味をもったら実際にやってみましょう! ”最初の一歩は動き出してからの1万歩よりも価値がある”
目次

ロシアがウクライナを侵攻してはや2年。

世界情勢は得も言えぬ不安に包まれています。

第2次世界大戦が終わり、人類はかつてない平和な日々を過ごしています。

アメリカ、ロシアの冷戦、中東地域の内戦など大きな戦争につながりかねないことは起きていたものの、今日に至るまで大きな戦争は起きていません。

しかし、私たちの平和は薄氷の上に成り立っているにすぎません。

ちょっとした衝撃で氷が割れて、人類は奈落の底に落ちていく可能性もあります。私たちの平和を絶妙なバランスで保っているのは実は「核兵器」なのです。

核爆弾は、広島と長崎に投下されて、私たち日本人に深い傷跡を残しました。その核兵器が私たちの平和を守っているという「核抑止」という概念について考えていきます。

この記事を書くにあたり、以下の本を参考にしました。

千々和泰明「世界の力関係がわかる本」

ぜひ、購入して読んでみてください。我々の平和がいかに危ういバランスで成り立っているかがよく理解できるはずです。

戦争が起きていないのは人類が成長したからではない

戦争とは、国同士の武力での衝突を意味します。

戦争をするということは、双方の国に犠牲が伴います。その犠牲を払ってでも戦争したいと思わせる何かがあれば、国は戦争を始めてもおかしくないということです。

現在、ロシアのウクライナ侵攻をはじめ、世界では小規模な戦争は起きていますが、なぜ世界大戦のような大規模な戦争が起きていないのでしょうか。人類が平和に目覚めて戦争の愚かさに気付いたから。そうであったならば、どれほど良いかと思いますが、そうではありません。

第3次世界大戦のような大規模な戦争が起きていない理由を考える際に「相互確証破壊」という概念があります。この概念の鍵になるのが、核兵器です。

相互確証破壊とは

核兵器は、第2次世界大戦中に日本に二発使用されました。たった二発の核爆弾が、日本を壊滅的に破壊して、結果として終戦につながったという背景があります。このように核兵器には、相手を破壊し尽くす、圧倒的パワーがあるということです。

では仮にA国とB国という2つの核保有国が核戦争をしたらどうなるか考えてみましょう。A国がB国に核攻撃を仕掛けたとします。そうすると、B国は核攻撃により壊滅的なダメージを負ってしまいます。B国は自分の国だけがやられるわけにはいかないので、報復としてA国にも核攻撃を仕掛けようとします。この時に、もし核攻撃された混乱で反撃することができないという状況が生まれるとすると、お互いに先制攻撃が最適解ということになってしまい、核攻撃をいつ仕掛けるかという緊張状況に陥ります。

しかし、核攻撃された後でも、相手国に確実に核攻撃で反撃できる仕組みが整っていたらどうでしょうか。こうなると、A国はB国に核攻撃を仕掛けてB国を破壊することができます。しかし、B国もまた、反撃をすることができてA国を破壊できます。結果的に、A国もB国もどちらも壊滅することになります。このように、「あなたが私を核攻撃したら、私もあなたを確実に核攻撃します。結果的にどちらも破壊されてしまいますよ」という概念が「相互確証破壊」です。

わざわざ自分の国を滅ぼしたいと考えるリーダーはいませんので、核戦争は今の所起きていないのです。

日本はアメリカの核の傘に守られている

日本は世界で唯一核攻撃を受けた国です。

そのトラウマは国民に根強く残り、今も核に対する拒絶感は相当のものがあります。

しかし、現実には日本も核の力に守られているのです。

日本はアメリカと同盟関係にあります。アメリカは、訳5000発の核を保有していると言われています。もし、日本がどこかの国に攻撃されたとしたら、アメリカは同盟国である日本への攻撃はアメリカへの攻撃と捉え、相手国に報復をします。これによって、他の核保有国からの侵略を防いでもらっているのです。

ですから、核を保有していない日本は、核を保有しているアメリカという超大国の傘の中で守ってもらっているため、他の核保有国と対等に外交できるのです。

しかし、アメリカが日本を守るのは、アメリカにとって日本が守るべき価値があるからと今のところ考えているからにすぎません。もし、アメリカが日本を守る価値がない存在と捉え、核の傘から追い出されてしまったとしたら日本も今のウクライナと同じような状況になってもおかしくないと言えるでしょう。

核兵器は大変危険な兵器です。それを保有することは世界を恐怖に陥れる行為です。しかし、核兵器による「相互確証破壊」によって均衡が保たれているのも事実です。

みなさんはどう考えるでしょうか。

世界のすべての国が核を保有するリスク

では、日本をはじめ、すべての国が核を保有したらすべての国が対等に過ごすことができるのでしょうか。結果はわかりませんが、かなりリスクがあります。

無謀な指導者による自滅作戦

もし、すべての国が核を保有したとしたらどうなるか。ひとつに、無謀な指導者による自滅が考えられます。とある小国の独裁者が、自国の存続をかけて小さい戦争を仕掛けたとします。旗色が悪くなり、国際社会からも糾弾され、自国の存続が怪しいとなった時に、自暴自棄になって死なばもろともと、核のボタンを押してしまう。こんなシナリオもあり得るかもしれません。多くの国が核のボタンを押せる状況になるとそれだけリスクも増えます。

テロリストに核が渡る危険

テロリストは危険な存在ですが、現在彼らにできることといえば、群衆に車で突っ込んだり、爆弾を爆発させることくらいです。これらの行為は非常に残忍でおぞましく、許されるものではありません。しかし、国を壊滅に追い込めるほどの破壊力は有していません。テロリストは、巨大な像の耳元で飛び回る蠅のようなものです。ものすごく不快ですが、取るに足らない存在です。

しかし、もし核の存在が当たり前になり、核爆弾がテロリストの手に渡ってしまったら話が変わってきます。テロリストという小さな存在が、国家という巨大な存在に壊滅的なダメージを負わせることが本当にできるようになってしまうのです。そうなってしまった国際社会がどれほどの混乱に陥るかは想像に難くないでしょう。

勘違いのリスク

相互確証破壊において大切なのはスピード感です。こちらが破壊され尽くす前に相手に反撃することが肝になりますので、核攻撃を仕掛けられた兆候があれば、即座に相手にも核攻撃を仕掛ける必要があります。ですが、この核攻撃をしかけられたという認識が勘違いだった場合大変なことになります。ひとつの勘違いから世界が滅亡する可能性があるのです。実際に冷戦時代などは勘違いから核攻撃の一歩手前まで行った事例もあるそうです。

このような事態は核保有国が増えれば増えるほど増加していきます。

世界の平和を守るものは何か

核は史上最悪の破壊兵器です。これが使用されたら地球は文字通り、地獄と化すでしょう。

しかし、人類史上空前のこの平和は核による「相互確証破壊」で成り立っています。

なんとも皮肉な話ですね。

しかし、だからといってこの緊張関係が私たち人類にとってベストな方法なのでしょうか。ほんのちょっとの出来事で地球を丸ごと破壊する地獄にいつ突入してもおかしくないのが現代なのです。

私たちにできることはなんでしょうか。

少なくとも平和や戦争について自分なりの考えと意見を持つことはとても大切なのではないでしょうか。

ぜひこの記事がそれを考えるきっかけになれば幸いです。

参考資料

この記事は千々和泰明氏の著書、「世界の力関係がわかる本」を参考にしています。

相互確証破壊もひとつのテーマとして扱った中国のSF大作、「三体シリーズ」も非常に面白く、考えさせられる本です。

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